「愛してるよ、
「・・・愛の言葉って何度も繰り返すと急に安っぽくなるのよね」
「そう?君への愛は僕の中で途切れることはないし、逆にあふれそうだ
だから言葉にするんだよ。それに言葉にしないで君を不安にさせたら嫌だしね」
「そう・・・思うのは勝手だけどとてつもなく鬱陶しいわ。迷惑よ」

以上はリドルと彼の同級生であるという名の女子生徒の間で日常的に行われる会話である
会話内容から判断すればただリドルが一方通行な自身の想いを吐露しているように思えるが実はこの二人は恋人同士だったりする
だが傍から見ればそうは見えない
それでも二人は相思相愛なのだ。もリドルの事を愛している
だが彼女は素直ではないのかそんな想いをほとんど表に出す事がない
先ほどのリドルの事を愛しているというのもリドルが傍にいない時に友人相手にが言っていたのがその日の内に噂になった
ちなみにその噂を聞きつけたリドルが狂喜乱舞し、照れ隠しにが一週間もの間リドルを無視したのもホグワーツ生の記憶には新しい
そしてそんな二人にやきもきしている人間もいるわけで、
っ!もう何度も言っているからうんざりしていると思うけど今日も言うわ!
そんな態度をとっているといくらトムが貴女にぞっこんだからってすぐに嫌われるわよ!!」

先ほどの会話を聞いていた友人の言葉にはレポートを書いていた手を止める
「・・・・・・・・・何だっていいでしょう?」
そう言ってレポートに再度向かうの手から羽根ペンを奪い取る友人
「よくないわよっ!」
そう怒鳴り、自身の鼻先にずびしっと奪った羽根ペンをつきつけてくる友人に面倒だとばかりに溜息一つ
「こらぁ!溜息をつくな
ツンデレなんて許されるのは小説の中だけよ!!いえ・・・貴女の場合はデレがないからツンツンだったわね・・・・・・
とにかくっ!!そんなもの現実でやって受け入れられるなんて奇跡よ!!
この奇跡が終わってトムに嫌われる前にその腐った根性を直しなさい!!後悔するわよ!」

「誰が腐った根性だ・・・とにかく大丈夫だから気にしないで」
羽根ペンを奪い返し、レポートに戻る
それでも友人は「知らないわよ!本当に知らないからね!!」と、叫ぶが無視しては黙々とレポートを進めるのであった


+ あまのじゃくの愛し方 +


友人とそんなやり取りをしたその次の日
「あ」
図書館に用があるので授業後、友人と別れ、一人で廊下を歩いていたは前方に見えた人物にそんな声をあげた。彼女の視線の先にはの彼氏であるリドルの姿
「トム〜」
昨日やっていたレポートで分からない所があったはちょうどいいとばかりに声をかける
だがいつもであればにこやかな笑みを浮かべ、やってくるはずのリドルはそのまま角を曲がってしまった
「?」
珍しいこともあるものだと思ったものの人も多く、話し声があちらこちらから聞こえてくるこの状態ではに気がつくことは難しいだろうと自己完結
分からない所も図書館で本を探せばどうにかなるだろうと考えてリドルを追いかける事なくそのまま当初の予定であった図書館に向かうのであった

そんな事があったのが三日前

「お・・・おかしい・・・・・・」
さすがに異常を感じだしたは自室で頭を抱えていた
思えば三日前。何時も何があろうとの気配がすればどこからともなくやって来るリドルがの方から声をかけたのに気がつかなかった
あの時は特に気にしなかったがそれからリドルがおかしい
顔を見合わせれば挨拶はする。しかしそれだけだ。いつもの「愛している」と、いう言葉もなく、隙あれば抱きしめようとしていたのにそれもない
周りもそんなリドルの変化には気が付いている様で「とうとう愛想つかされた?」と、聞かれ全力で否定したが・・・

―――この奇跡が終わってトムに嫌われる前にその腐った根性を直しなさい!!後悔するわよ!

友人の言葉がよみがえる
もしかしたら、そうかもしれない。トムならば理解してくれるだろう・・・そんな考えの上に胡坐をかいて愛情表現らしいことなど何もしていなかった
愛想を尽かされていても不思議ではない
それでは・・・このままではどうなるのだろうか?別れる?リドルと・・・・・・?
そう思えば居ても経ってもいられなかった
勢いよく立ちあがり、その際に椅子が倒れたことも気にせず、は自室を飛び出していた

談話室へたどり着けば、もうすでに消灯時間を過ぎたせいか談話室には人の気配がなかった
しかし、ぼんやりと魔法の光に照らされリドルの姿を見つけ、はほっと安堵の息を吐いた
「・・・トム・・・・・・」
「やぁ、。こんな夜中に何の用だい?」
「別に・・・」と、思わず返事をしてしまい、素直に切り出せない自分には顔をしかめる
そんなに対してリドルは本を読んだまま顔をあげることもなく、の相手が面倒くさいという雰囲気が伝わってきた
そんなリドルの態度には焦る。やはりリドルは自分の事が好きではなくなったのだろうか?
呻くように「トムっ」と、彼の名を呼べばやっとリドルは本を閉じ、顔をあげた
「私はトムの事が好きだよ。誰よりも何よりも・・・・・・・・・・・・
だから・・・・・・だから・・・・・・・・・・・・・」
そこまで言っては一度言葉を切る。だが意を決していつの間にか俯いていた顔をあげる

「・・・・・・別れないで。一緒にいて」

蚊のなく様な小さな声でそう言う。聞こえないで欲しいと思ったが目の前のリドルが目を見開いたのを見る限りしっかり聞こえていたのだろう
罰が悪くなり、ギュッと目を閉じる
実際、虫のいい話だろう。常に想いを伝えてくれたリドルに冷たくして、いざ別れるかもと思った時に手の平を返す様にこんな事を言うのだから・・・
裁判長の判決を待つ罪人の様にはリドルの言葉を待っていた
すると―――急に腕を引っ張られ、はバランスを崩してリドルの胸に倒れ込む。そのままぎゅぅっと抱きしめられ、驚きつつもぱちりと目を開く
リドルがどんな顔をしているか分からず、見ようとしたが抱きしめられていてはそれも出来ない
「ト・・・「よかった〜!」
名前を呼ぼうとしたがその前にリドルの明るい声がの耳に届く
「へ?」とが間抜けな声をあげるのとリドルがを抱きしめる力を緩めるのは同時だった
がやっと見る事の出来たリドルの顔はこれ以上ないほどににこやかで上機嫌なものだった
・・・僕はね。君の気持ちは知っているつもりだ
僕の事はちゃんと愛してくれているというのも知っている。そしてその想いを素直に表現する術を持たないこともね
だから別に普段の素直になれない君も可愛くてたまらないと思う
でもね。でも・・・」
そこまで言っての耳元に顔を寄せ、

「時々は素直な君の言葉が聞きたいんだ。そのためなら何でもやるよ」

そう囁かれ、反射的には耳を押さえる。顔に熱が集まり、赤く染まるのが分かる
だが再び見えたリドルがニヤリと笑ったのが見えたせいか、彼の発言がやっと脳に届いたせいか一気に冷水を浴びせられた気がした
―――え〜・・・っと・・・・・・つまり、この三日間の彼の態度は・・・・・・わざと?
?」
急に表情を消して、ふ〜っと深く息を吐いたにリドルは首をかしげる
そんなリドルに対し、はにっこりと満面の笑みを浮かべて―――

その日
スリザリン寮の談話室から鈍い音と断末魔が聞こえたのであった





久々の更新で申し訳なかったです
90万ヒットおめでとうございます!
ツンデレヒロインでリドル夢でリクエストさせていただきました!!
とてもよかったです!これからも頑張ってください!