時は更に過ぎ放課後
は梨奈と共に屋上の給水塔の所に息を潜めて時が過ぎるのを待っていた

……そう、今達の前にはピューマの次期ボスである、ボンゴレの次期ボス候補であるツナ…更には暗殺対象である江藤大毅が何やら話し込んでいるのだ



「先生?わざわざ屋上に呼び出しってどういうことですか?」

「…職員室で話したくない内容なんだろ」



ツナを自分の後ろに隠し江藤を睨む
その姿はいつにもましてカッコイイ
しかし、江藤もマフィア…そんな睨みで怯むわけもなく口角を上げた



「……気付いてたか、流石は『赤髪の姉弟』の片割れだな」

「え?どういうこと!?」

「プルッセオファミリーの情報部兼暗殺担当の江藤大毅…確か通り名は『双黒の銃』だっけか?」



決して自分が調べた情報ではない
自分の姉と梨奈が調べあげた情報を自分が貰っただけで、流石と言われる理由がない

俺なんかボスに向いてないはずなのに…ねーちゃんの方が強くてボスに向いてるはずなのに、とーさんは俺を選んだ
その理由をとーさんもねーちゃんも教えてくれない
もどかしくてしょうがない



「で、確か並盛に来た目的は…」


バンッ!


その続きはそこまで大きくない破裂音で遮られた
──否、遮られたというよりは避けるために自分で言葉を切ったのだが
相手は俺だけを狙っていたらしくツナに当たることはなかった
だが…俺の右頬につぅーと赤い筋がついた
───掠ったらしい
ふと、ねーちゃんを見れば眉は寄せていたが得に何も無いようだ
いつもなら嫌みの一つや二つとんでくるのに…



!?大丈夫?」

「あぁ…」

「おっと…動くなよ。どちらかが動けば片方はおだぶつだ」

「なっ!」

「はっ!だったらそんなこと言わずにとっとと殺せば良いじゃねぇか」



尤もこんなところで血の臭いを香らせたら並盛の秩序が黙ってねぇだろうけど

と笑って言ったに怒りを成したのかの足に向かって一発銃を放った

しかし、軌道がよめる弾など死に弾と同じ。いとも簡単に避けてしまう…その場から一歩も動かずに───
伊達に『片翼の王子』という通り名は貰っていないのだ



「当たらねぇな…?『双黒の銃』さん、よぉ?」



口をニヤリと歪ませて睨みを効かせれば今度は一瞬怯む
相変わらずツナは俺が大丈夫かと心配してる
……でも、お前は俺の心配じゃなくて自分の心配をしてくれ



「2対1で俺が確かに不利だ…でもな!一瞬で有利にもなるんだよっ!」


バンッ!


今度は一発ツナに照準を合わせて撃ってきた
ツナも俺も一瞬反応が遅れ、避けられないし、守れない
冷や汗が額から流れた

────その刹那

ガチャンッ!という音がツナの周りで聞こえ辺りが煙に包まれた
人間の肉と銃弾が触れた音なんかじゃなくて、金属と銃弾がぶつかった音
まさかっ!と思い上を見ればそこにいるはずの人物が一人いない
ということは………



「だ、誰だ!」



少し煙だった周辺の煙が消えればそこにいるのは赤い髪に赤い瞳それに黒スーツを着込んだ女性────が銀扇を開いてそこにいた
ツナはすんででねーちゃんに飛ばされたらしく怪我はない
ホッと溜息を吐くと同時に感じる強い──でも感じなれた──殺気
あぁ…ねーちゃん怒ってる



Lui e certamente un prossimo capo.確かに彼は次期ボスよ。
Io non nego che lui e un prossimo capo.彼も次期ボスなのも否定しないわ



突然聞こえたイタリア語
俺や江藤…それに梨奈姉さんは理解できてもツナは理解できない
態となのか?



「ボスを護るのが部下の役目…だがそれ以前に大切な人達を傷付けるのは許さない!」



ぶわりと先程より膨れ上がる殺気
これ程までに感情的になる姉を見たことがない
手が震える
それでも俺は頑張ってツナの方に向かいツナを安全なところに避難させる

が銀扇を閉じ代わりにトランプを二枚取り出した
相手は一歩も動けずにいる



、そこにいなさい」



二枚トランプのトランプのうち一枚を自分の足元に投げる
紙製ではないトランプは床に刺さり俺達を足止めする

───手だし無用か…

カツンと一歩が踏み出せば無意識的に一歩後ろに下がる江藤
トン…と壁に体付きとの距離は僅か一歩



「貴方のファミリー消させてもらったわ」



トランプで壁に服を貼付ければ動けなくなる江藤



「まさか!」

「随分あくどい事をやっていたようね?」



バサバサと舞落ちる紙
どうやら落としたのは上に隠れてる梨奈姉さんのようだ



「あ、落としちゃった」

「梨奈先輩!?」



絶対態とだろうに…そう考えるのはきっと俺とねーちゃんだけ
一枚ヒラリと飛んできた紙を取った
そこに書かれていた内容は余りにも残酷で悲惨なモノだった

子供達が実験台の上に寝かされて麻酔もない状態でメスを入れられる
その実験台の回りには、堪え切れなかった子達だろうか赤い血を流して死んでいる子供達
壁は赤い血で汚れ白衣を着た大人達は歪んだ笑みを浮かべ研究結果を書き込んだり子供達を傷付ける

見たくもない写真が一枚そこにはあった
思わず吐きそうになるが堪えた
気持ち悪いという感情よりも同じマフィアなのか…というような憎悪の感情が込み上げてきたから
勿論こんな紙、ツナになんか見せられない
まだ、お前は白でいろ



「まさかっ!貴様は…『英国の姫君』!?」

「あら?今更気付いたの?」

「『英国の姫君』……?」



江藤の馬鹿でかい声がこっちまで聞こえる
どうやらツナは『英国の姫君』というねーちゃんの通り名に何か引っ掛かっているようだ
ねーちゃんはそんなこと知らない



「リボーンが捜してた人…?」

「…は?ツナそれどういうことだ?」

「え?…こ、この前リボーンに連れられて梨奈先輩の家に行ったんだ」



そこからの話は簡単で、リボーンは『英国の姫君』が日本人だと気づき、『片翼の王子』が行方不明だということを知って行方を『エルディーレ』事梨奈姉さんに聞いたらしい



「リボーンには内緒だぞ」

「えっ!?なんで?」

「…まだ時じゃないからだ」



ねーちゃんが隠したいと思ってるからこそ俺とねーちゃんが姉弟だということを隠してるんだ
ということは『英国の姫君』ということもばらしてはダメだ
ツナに対してはきっと自分から言うのだろうからしばらくは知らないフリを…



、ツナ」

「ん?」

「…え?なんで俺の名前!?」

「気付いてなかったんだ……だよ?」

「え!?髪赤いって事はと何か関係あるのーっ!?」



江藤を引きずりながら話すにツナはビックリした様子
…ねーちゃんだって気付いてなかったんだ



「…この姿では初めまして、ボンゴレ十代目。将来的に貴方にお仕えするです」



一応このの姉で、昨日から並盛中学校に通う学生です
と何時もより若干丁寧な言葉で話す
ツナは何時までも戸惑っていた



の姉なのに俺に仕えるのっ!?しかも俺ボスにならないし!」

「…訳あって私はボスにはなれませんので」



まぁ、ボスになろうとなかろうと貴方を護り続けます
と真剣な目で言うねーちゃんに一体昔に何があったんだ?と疑問に思った
隣に立ってたねーちゃんが随分と先にいるような感覚…
まだ、ねーちゃんの事よく知らないのかな?



「取り合えず!敬語は止めて!年上に敬語はなんか恥ずかしい!」

「ふふふ…分かったわツナ、私もって呼んで」

先輩!」



そのあとは、ねーちゃんと梨奈姉さんは江藤の処理を
俺とツナは家に帰った


***


おまけ

「赤と黒どっちが地毛なんですか?」

「赤に決まってるじゃない」

「…やっぱりの姉なんですね」

「不本意だけどね…」








後書き

やっと原作入ります…一応