「見つけたわ…まさかあそこにいるなんて思ってみなかったけど」

『アイツの居場所なんかあそこぐらいだろ?』

「クス…そうね」

『で、何のようだ?そっちは深夜だろうに』



今の時間は深夜2時
あたりはだいぶ寝静まり夜に活動が活発になる虫達の虫鳴き声聞こえる程度の静けさの中
はリビングのソファーにゆったりと座り優雅にコーヒーを飲みながらある人物と電話をしていた



「エルディーレが暗殺願いを私に依頼して来たのよ」

『アイツが…?珍しいな』

「ソイツが並盛で英語の教師やってるせいで動き辛くて……」

『ハハハッ!笑わせてくれる『英国の姫君』が動き辛いなんて有り得ないことだろ?』

アサリハネの次期ボスが狙われてるとなるとやりづらくてしょうがないわよ…」



一口コーヒーを口に運びスーッと目を細める
相手にの姿は見えないが、声が今までと違い殺気を若干だが帯びていたため真剣な話に移ったと電話相手は悟る……



『まさか…ピューマに関しては狙われるのはわかるが…ボンゴレはまだ公表してないだろ?』

「落ち度があるとしたら…リボーンか隼人ね」

『…で、何故俺に電話した?』

「…プルッセオファミリーを潰してほしいの」



そいつらが刺客を送り付けたファミリーだから…
と苦笑いをしながら言えば電話相手は何を感じ取ったのか今まで近くに居た自分の部下を全て退出させた



『どういうことだ?

「そのファミリー人体実験してるわ…あのマフィア以上のとこを、ね」

『………わかった、徹底的に潰してやる』

「資料は送るわ…かの情報屋さんから貰ったモノを」

『あぁ…』



じゃあね…お父サマ
と言って電話を切れば先程より静まり返った外を見ては溜息を吐いた
電話相手は父親
しかし、自分の父はボンゴレ並の勢力を持ちボンゴレの最初の同盟ファミリーとして名を轟かす『ピューマファミリー』のボスであり、前代未聞ではあるがボンゴレの守護者・・・・・・・・である

故に裏のマフィア界では知らぬ者は居ないというほどの知名度を持つ者である

そんな異名を持つ父の地位をは分け合うのだ
はボンゴレに
はピューマに

カタカタとパソコンを動かしは父に資料を送る
がベットに入ったのは深夜の3時を過ぎた頃だった


***


のクラスでは英語の授業が行われようとしていた
教科担当はまるで図ったかのように江藤大毅
若干の熱血教師としてクラスでの評判は結構いいらしくだいちゃんと呼ばれていた

さぁ…どんな授業をするのかな?



「昨日転校生来たんだったな…英語で自己紹介してもらおう!」



クラスの人々全員がに視線を向け目をキラキラさせていた

きっとイタリアから来たって言ったから発音が聞きたいのだろう…
イタリア語と英語では発音違うのに…



「はい…
My name is .私の名前はです。
I was born in Japan.私は日本で生まれました。
I have already graduated from an Italian university.私はイタリアの大学をすでに卒業しています。
Rina of the neighboring class is my childhood friend.隣のクラスの梨奈は私の幼馴染みです。
Mio padre e una persona che protegge "vongole" e "piuma".私の父は『ボンゴレ』と『ピューマ』を守る人物です。



スラリと発音するにクラスの皆──一部を除く──は更に目をキラキラさせた
しかし、“先生”だけは違う反応をしめした
そう最後の一言は英語ではなかったのだ
そう…の第二の母国語であるイタリア語

さぁ…一体どう出るかしら?

はクスリと笑みをこぼし席につく
すると目の前に広がるのは杏里の顔
どうしたのかと首を傾げれば杏里は更に顔を近づけてきた



「杏里…顔近い」

「最後何て言ったの?」

「え?」

「最後以外は全部訳せたけど最後だけ訳せないの!」

「杏里には関係ないから訳せなくていいの…寧ろ訳すな」

「じゃあ何で最後はイタリア語で言ったのよっ!」



訳させるために簡単な英語使った癖して、重要そうな事は教えてくれないんだから

とふて腐れる杏里には驚いた顔をした
意外だった杏里がそこまで私に執着するなんて…

それでもダメと否定をすれば諦めたのか今だ固まっている江藤を見た



「先生…授業始めてくださいな」

「あ、あぁ…今日は────」



の一言で我に返ったのか軽く頭を振り教科書を開きスラスラと英文を書いていく……



「センセー!筆記体じゃわかんないよ!」



余程動揺したのか黒板には筆記体で書かれた英文があった
これじゃあ、読める人は殆どいないわよとクスクスと江藤に見えないように笑えば隣の女の子が筆記体読めるの?と聞いてきたので一応はと答えておいた
その間にも江藤は何度も間違い──ドジともいう──を起こし生徒に心配されていた



「今日はここまでにして将来の夢について英文を書いてもらうぞ」

「「えー」」



余りにも自分のドジのせいで授業が進まないので元々宿題として出す予定だったプリントを皆に回しだした

……将来の夢ねぇ
なんて書けばいいかしら



「杏里は将来の夢ってなに?」

「私ね!インターポールに就くことなの!」

「え゛」



杏里の口から思いがけない言葉が飛び出し、は背筋が凍る
……インターポールって警察じゃない!
しかも何で日本の警察じゃなくて国際警察…
自分──マフィア──が一番恐れる組織じゃないか



「お母さんがね、警察だったから…それ以上の地位に立ちたくって!」



てへ、と語尾に星が尽きそうなぐらい無邪気に言う杏里には何も言えなくなった
…お願いだから私の仕事の邪魔だけはしないでください
と祈るしかなかった



「で、は?」

「私は……大切な人を守れる地位や力をつけたい、かしら」

「それ、夢と言うより希望よね?」

「他人は希望かもしれないけど私は夢だから…」



もうあんな思いはしたくないから
大切な人が犠牲になるなんて…
だからこそ私は今の地位まで上り詰めたのだ
一人でも多くの人を助けるために……
これは『正義』であり『悪』だ
人を助けるために人を殺す
矛盾してるが所詮皆の『正義』にはなれないのだ



?どうしたの?」

「あ、ごめんなさい…なんでもないわ」



その直後授業の終わりのチャイムがなりその授業は終わりを告げた

授業自体は結構解りやすく生徒から気に入られる理由が何となくわかった
ただそれも悲しいことに今日で終わりを告げるが…









後書き

完璧なるオリジナル