き誇る闇の花


今宵は満月、そんな夜には、こんな恐ろしい話がよく合う


「もーヤダ!!」

「何がだぃ?」


白と黒に統一された部屋でソファーに座っていた女がキレた。


「あの岡崎澪っていう女。アタシの前で群れを造るなんて!」

「沙姫がキレるなんて、珍しい。相当嫌いなんだな」


沙姫と呼ばれた女が口許だけ笑う。


「アタシね。あーいうヤツ大っっっ嫌いなの!」

「そういえば、そんなこといってたな」


先程と別の男が沙姫がいるソファーに手をかける。


「なら、記憶消してあげれば?」

「うん!それもいいね」

「ボス、あんたの姫サンが記憶消そうとしてるぜ」

「……沙姫が言うならやってもいいさ」


ボスと呼ばれた男が呟いた。


「ま…ボス大好き!」

「僕もサキ姉ちゃん大好きだよ」

「こらこら、悠は人の話に首突っ込まない。ところで、君達準備はできてるのかな?」

「「「「……。」」」」


一瞬みんなの動きが止る。


「沙姫のためだろ?明日までに終わらせるよ。悠は、龍一と一緒にいなさい。」

「はーい。兄様頑張ってね、サキ姉ちゃんもね!」


2人を残して残りの6人は奥に姿を消した。

後3時間は出て来ることがない人達に悠は溜め息を着いた。


「兄様ってば、僕も出来るのになんでやらせてくれないんだ?」


龍一に呟く。もちろん"龍一もそう思うだろ?"と言うを忘れずに

そして龍一はいつも決まってこう答える。


「ボスは君にそんなことしてもらいたくないんだ」


つまらなくても、我慢だよ。と付け足して

まだ、納得がいかないのかブツブツつぶやいてる悠にとどめを刺すため口を開く


「それに今回は、沙姫さんと同じ学校らしいから失敗は許されないんだ。分かるよな?」

「…うん。分かった諦める」


それが効いたのか、悠は諦めた。


「もう遅い悠、寝なさい。」


突然聞こえた声に悠は目をキラキラさせる。


「兄様!もう終わったの?」

「いいや、まだだ。でも、後2時間したら終わる。必要な物も買ったしね」

「流石、手が速いですね。ボス」

「龍一、褒めても何も出ないよ。それにみんなのおかげだ。」

「兄様頑張って」

「あぁ。失敗はしないさ。」

「誠!!早くぅ!」

「あぁ、今行く。したくもないさ…澪の記憶なんだから―――」


誠は外の満月に目を向け、少し眺めたあと、また奥の部屋に入っていった。

誠が呟いた一言は誰にも聞かれる事無く、闇に飲まれた。





今宵は満月、闇に身を潜め、闇の記憶は動き出した。

もう止められない、闇への秒針は動き出してしまったから…

 



☆あとがき☆
一つも、修正を入れずUP
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