は朝早くから準備をしていた

結局あのあと恭弥にはなにも言わず今日が来てしまった

だからきっと恭弥は驚くだろうが帰ってきたことに…

はクスクスと笑いながら扇を取り出し軽く扇いだ

するとの髪と瞳は赤から黒に変わり髪は上の方で結わい付けた

───幻術で隠したい全てを隠そう
そうすればきっと楽しく過ごせるだろうから

ふと鏡を見れば綺麗な自分がいるが、この仮面を外せば歪んだ汚い自分が写るだろう
赤い朱い血に染められた自分の体が…ね

は鏡から目を離し鞄を持って玄関をでる

そろそろ外に梨奈が出てくる頃だろう──私のための情報を持って



「あっおはよう」

「おはよう…で、情報は?」



梨奈はネクタイを少し緩めながらに笑いかける
それをは返しながら梨奈のネクタイをみる

学校指定のネクタイじゃないのね…遊びすぎじゃないの?

梨奈が今付けてるネクタイは学校指定色の赤だが指定の太さよりは細身で下の方には黒の十字の上に白い鎖が巻き付いている柄があった

───それ、地が赤じゃあんまりかっこよくないね

がニッコリと笑えば梨奈はわかってるよ。そんな事ぐらいと少しムスっとして笑った

そんな会話をしつつ足はしっかりと学校に向かっている
並中に近くなってきたためか徐々に並中の制服を来た生徒が多くなる



「あぁ…忘れてた。情報だっけ?……これに詳しく書いてあるから読んで」



と梨奈はクリアファイルを取り出しにそれを渡す
ファイルは1cmほどの厚みがありは目を丸くした



「…一人にしては多いね」

「そのファミリーについても書いてあるから」

「そう………っ!コイツの仕業か………」



は紙を強く握り梨奈を見た

その書類には情報屋でもありと一言、それにその手口が細かく書かれていた

この前私の管理するモノがハッキングされた
別にたいした内容じゃないからハッキングされても構わないが何かムカつく……

そんなことを思っていたら、聞き慣れた声が遠くの方から聞こえてきた



「へぇー相変わらずだな!」

「うるせっ武」

「てめぇー10代目になんかあったらただじゃ済ませねぇからな」

「獄寺くんっ!!」

「ぁ………見付けた」



書類を見ていたらいつの間にか正門に近付いて居たらしく赤い髪の男の子に、背の高い黒髪の男の子、髪の毛が重力に逆らって伸びてる男の子、そして銀髪の男の子がいた

は書類を鞄にしまいニヤリと口を歪めた

それをみて梨奈は笑みをこぼし赤髪の男の子───に同情をした



「おはようツナ」

「あっおはようございます梨奈先輩」

「んだてめぇー」

「梨奈………?」



は態と知らない振りをして梨奈に聞いた

梨奈は私の言いたいことが分かったらしく軽く頷いた

それにしてもツナ大きくなったね。昔のことはほとんど覚えてなさそうだけどね…

……そんなことよりも、アイツにバレてるねきっと───がピューマファミリーの次期候補だということを…
いや、は候補じゃなくて決定なのだけど…



「あぁ……ツナは昨日知り合ったんだけど1年A組の沢田綱吉君に同じくA組のスポーツ万能の山本武君で…」

「獄寺隼人だ」

「そうそう…と同じ帰国子女の……で、そっちの赤毛は、アタシの幼なじみの弟」

……?」

「あっ!私今日転校してきた2年のです…同じ苗字どうし仲良くしようね」



は嬉しそうにニコリと笑いの手を握った…それも思いっきり



「…っ!……よろしく」



その刹那、霧のようなモノが二人を包み込んだ

包み込まれた二人は真っ白な空間にいた
そう……入口も出口もなく、汚れ一つない空間に閉じ込められた
しかし、その空間を作ったのはなので出られないと言うのはないだろう
ただ一言感想を言うなら、気が狂いそうだ



「お久しぶりね…

「っ!ねーちゃん」

「一つ、私を暫く姉と呼ばないこと」

「え?」



は自身の武器であるトランプを取り出し少しだけに向けた
その表情は無。感情が一切出ていなかった。
は思わず、体を震わせた



「一つ、江藤大毅には気をつけること」

「ねーちゃん?」

「一つ、私と共にツナを守ること」

「ねーちゃん!」

「最後に…ちゃんと連絡ぐらいは入れなさい」



は、無の表情を崩し少しだけ悲しそうな顔をしてをみた
はあまり見たことの無い顔をされたためかから目線を外しごめんと小さく呟いた



「とにかく、気をつけなさい…貴方はであり大空であり羽根なのだから…」

「わかってるよ…ねーちゃん」



そう…とは呟き左手に持っていた扇を閉じた

─その刹那

またもグニャリと目の前が歪み、白い空間から校門の前に変わった



…おわった?」

「え?あ、うん」

ー!まだ黒に染めてきてねぇのか!」

「やっべぇー江藤」

「おい、!先生に対してその態度はなんだ!」

「これ自毛ですって何度言ったらわかるんですか?先生?」



は面倒だと思うような口ぶりで先程に注意しろと言われた男と話しはじめた

それをみたツナ達はいつもの事なのか先行くねと声をかけ先に行った

と梨奈はその場に残りじっと見ていた



「明日染めて来なかったら退学な」

「中学校は義務教育だろ?退学なんてできねーと思うけど?」

、残り5分だよ」

「え?あっ!じゃあな先生」



あ、おい!待て!と叫ぶ江藤を無視し、は急いで教室に向かう



「私も行かないと……梨奈は?」

「今日は会室に篭り…作業終わってないんだ…全く会長が何もしないから」

「そう……江藤先生?」

「なっ、なんだ?」

「赤い髪と赤い目を持った女の人には気をつけてくださいね」

「……なんのことだ?」



は何も言わずに校舎へと足を進めた



* * *



「失礼します……今日転入してきたですけど」

「あぁ…オレが担任の藤だ」

「よろしくお願いします」



深々と礼をすれば少し戸惑いながらよろしくなと答え教室に向かおうとする



「オレが言ったら入ってきてくれるか?」

「はい」



教室に向かう途中にそんな会話をすれば丁度クラスについたらしい

あぁ…2年C組か……梨奈はBだったよね…つまらない



「入ってこい」

「はい……始めましてと言います…
昔はこの並盛に住んでいましたが昨日までイタリアにいました!是非仲良くしてください」



ニッコリと笑って回りを見れば数人の男子は顔を赤く染めていた
誰も、が並盛で恐れられている風紀委員長雲雀恭弥の幼馴染みなんて知らないだろう

あぁ…恭弥がいない
まぁ、いるわけないか



「じゃあ、の席は……窓際の後ろから2番目の席な」



その刹那教室にいたすべての生徒が私の席を見、青ざめた

あぁ、なるほど…恭弥と同じクラスなのね

一瞬にして、状況把握ができてしまった。うれしいような悲しいような気持ちだった



「はい…」



少し戸惑いながらその席に向かえば自分の前にいる生徒が後ろを向いてニコリと笑った



「よろしくね」

「よろしく…えっと」

「中島杏里よ」

「杏里って呼んでいい?」

「うん、って呼んでいい?」



なんて一通り俗にある会話を楽しみ
は窓から外を眺めた

今日は雲が一つもない快晴だ

すべてを包む大空
そして、伸び伸びと羽を伸ばし全てをまとめる翼

はそんな存在にならないといけない

私がなりたくてもなれない地位なんだから大事にしてね










後書き

次回、恭弥さん出てきます!